鏡【一話完結型】
(やっと、見つけた)


利美はその鏡の前に仁王立ちした。
そして、鏡の中の自分を見つめる。

ドキドキとしながら利美はゆっくりと息を吸い込み、そして吐き出した。

それから。

「教えてください、鏡さん」


そう、鏡に問いかける。


傍から見れば鏡に話しかける痛い子にしか見えない。


「悠斗は、…私の彼はまだ私を愛していますか?」

だけども。
真剣に利美は問いかける。


利美が問いかけてから一分が経った。

また一分。
そして、五分経っても。


鏡はまだ表情を変えることなく、そのまま。


「……やっぱりデマだよね…」

利美は俯くと、はあっと溜息をついた。

噂。
都市伝説。

利美はわかってはいたけど、尋ねてみたかったのだ。
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