鏡【一話完結型】
最近、悠斗からの連絡が減った。
会う回数も減った。
なのに、会った時は必ず体を重ねる。

それが終われば私はもう用無しみたいで、そっけなくなる。

…終わりは目に見えていた。


でも、利美は信じたくなかったのだ。
それはその強気な性格と、無駄に魅力のある容姿の所為だった。


「…馬鹿馬鹿しい」


帰ろう、そう最後まで言おうとした時。


利美はその声を聞いた。


『………話しかけたのは誰だ』


「え?」


一瞬、空耳かと思い利美は周りをキョロキョロとする。
だけど、それが確信に変わるのは声がもう一度したからだ。


『……お前か、話しかけたのは」


そう、確かに“誰か”が利美に話しかけていた。
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