鏡【一話完結型】
さっきまでの強気な性格はどこへやら。


「だ、誰!?」

なんて、声を震わせながら利美はさらに辺りを見回す。


『お前が呼んだろう、鏡さんと』


その声に利美は耳を疑った。


(…鏡?)


その鏡を見ると、ぼんやりと何かが写った。


「ひっ」


利美は小さく声を上げると、その場にへたり込んだ。
写った何かは、女の様な、男の様な、若い様な、年寄りの様な。

ぼんやりとした姿だった。


『で、聞きたい事はなんだ」


その、ぼんやりとした何かの口らしきものが動く。
利美は口をぱくぱくとさせながらも、聞かないと!と咄嗟に思いさっきの疑問を口にした。



「悠斗はっ、ゆ、うとはまだ私を愛してますか…?」

引きつった声で利美はそう、鏡に問いかけた。

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