鏡【一話完結型】
鏡に写った何かは、ゆっくりと口元を緩ませた様に見えた。
それからまた喋り出す。
『その答えは違うだろう』
(やっぱり)
利美はそう思う。
だけども、鏡の中の声は更に続けた。
『その男はお前を“愛してなどいなかった”』
「……え?」
利美は意味がわからずに、再度聞き返す。
だけども、鏡の中から聞こえる声は抑揚なく、淡々と繰り返す。
『その男はお前を愛してなどいなかった』
「…………」
理解した利美はそれに愕然とした。
最初から、悠斗は利美を愛してなどいなかった。
だから、愛している、愛していないなどの問いはそもそもが間違っているのだ。
最初から他に愛している人がいたのだから。
それからまた喋り出す。
『その答えは違うだろう』
(やっぱり)
利美はそう思う。
だけども、鏡の中の声は更に続けた。
『その男はお前を“愛してなどいなかった”』
「……え?」
利美は意味がわからずに、再度聞き返す。
だけども、鏡の中から聞こえる声は抑揚なく、淡々と繰り返す。
『その男はお前を愛してなどいなかった』
「…………」
理解した利美はそれに愕然とした。
最初から、悠斗は利美を愛してなどいなかった。
だから、愛している、愛していないなどの問いはそもそもが間違っているのだ。
最初から他に愛している人がいたのだから。