蝶龍
〜冬馬サイド〜
琉伊から
真実を聞いた。
思っていた通り
琉伊が殺したわけじゃなかった。
ただ。
岩動隼人に対する
怒りで溢れていた。
ずっと琉伊を
苦しめ。
暁の命を奪ったその男に
無理に笑う琉伊の
笑顔ほど見ていて辛いものなど有りはしない。
冬馬「…泣けよ…。」
琉伊『…えっ??』
必死に堪えながら
微かに震える声で返事をする。
冬馬「俺は最初からお前がヤったなんて信じてねぇよ。」
琉伊『だって…あたしが。……捕まらなきゃ』
冬馬「例えそうだとしても。殺したのは岩動隼人だ。お前じゃない。暁だって今のお前を見たくて守ったんじゃねぇよ。」
そうだ。
コレが俺の本心だ。
きっと廉斗もそう言う。
琉伊『…と…ぅ…ま…ぁ…ッ』
冬馬「琉伊は悪くない」
琉伊『うぁぁぁぁあああああ!!!!』
狂ったように泣き出す
その痛々しい姿を
俺は…頭を撫でてやることしか
出来なかった。
なぁ。
お前も自覚してんだろ??
こいつを抱きしめて
支えてやれるのは
認めたくねぇけど…かなり癪だけど
俺じゃなくお前なんだよ
……光樹。