サクラに願いを
「パパとママは、今、おみまいにいってるの。ミキはおおおじぃと、おるすばんしてるの」
「そうか」
「おおおじぃもないてるの。おばあちゃんが、オータにあえたらおねがいしてって。おばあちゃんとのおやくそく、まもってくれなくていいから、ケンちゃんと、おばちゃんを、たすけてって。おおおじぃも、かみさまにあえたら、おねがいしてきておくれって」

おねがいします、たすけてくださいと、泣くじゃくるミキちゃんに、オイラは言葉もなく呆然とするしかなかった。


ひとしきり泣いたミキちゃんに、オイラは頼みごとをした。

「ここに、埋まっているもの、出してくれないか?」

オイラは木の根元を指差して、ミキちゃんにそう頼んだ。
ミキちゃんは不思議そうにオイラを見ていた。

「昔な。カヨちゃんが埋めたものがここにあるんだ。それ見たら、オイラ、少し元気になれそうな気がするんだ」

オイラをじぃっと見ていたミキちゃんは、大きく頷いて、ミキのスコップ持ってくると行って駆け出していった。


約束。
カヨちゃん。
ちゃんと覚えていたんだな。
入院してるって言ってたな。
いよいよなのかな。


あの日のことを、オイラは思い出した。
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