なぁ、泣けよ。
出会い
櫂斗 side
『おーい櫂斗ー!仕入れ行くぞー』
『りょーかいっす』
ガチャッ
そう言って店長の黒いワゴン車に乗り込む。
『今年の夏もアッチィな!櫂斗。』
そう言いながら額の汗を拭うのは店長。
短髪で耳にはピアス、腕にはタトゥー…
少し焼けた肌と整った顔、筋肉のついた体、男の俺でも店長は格好いいと思うし尊敬している。
『そうっすね。でも俺、夏は嫌いじゃないです』
そして俺は名倉櫂斗(なぐらかいと)。
今年19才、店長の立ち上げた雑貨店で働いている。店は去年開店ばっかで店長と俺ともう一人しかいない。
容姿は生まれつき恵まれてて、それなりに恋もしたし遊んだ。まぁ、女には苦労はしないくらいだ。
だが、俺はまだ本当の恋をしたことがない。
~♪
『あっ!そういえば櫂斗ぉ!!』
鼻歌を歌っていた店長が言った。
『明日から店に新入りくるぞ!』