イケメン彼氏の秘密
斗真はそのアーヤがすっごく好きらしい。
……何か架空のキャラに嫉妬しちゃうんだけど。
「で、告白しようと思ったんだけど考え直した。俺も外見だけで好きって決めてる、それって自分が嫌なことなのに相手にするのかって」
私はその頃、絵に夢中だった。
作品が納得いくものじゃなくて、高1の時の美術の提出ができていなかった。
だから先生に頼んで、待ってもらっていた。
「俺さ、何で賞にでも出す作品じゃないのにあんなに必至に頼んで描くんだろうって思った」
「そ、そうだよね」
確かに賞にでも出す作品じゃなかったのに。
その時は本当に絵に夢中で。
ずっと必至に描いてたな…。
「でもさ、必至に頼んで描いてる恭奈みて何か凄いなって思ったんだ。俺、今まで必至になったことなんてなかったし…何か羨ましかったのかも」
「羨ましかったの?」
「必至になれることがあって。…って何か若干嫌味だな」
「嫌味だね」
斗真は必至にならなくったって何でもこなしちゃうから。
勉強も運動も他のことも。
「まぁ、必至でやるわけではないけどゲームやネットにハマったのもこのせい」
ゲームだと勉強も運動もあんまり関係はない。
ネットだと外見なんて見えないし、中身だけ。