罪語りて所在の月を見る
「あんさんの呪いがどないなもんかは知りまへんが。僕に何かできんなら、今ここで何かせえ。
巻き込む心配すんなら、僕を弱く見すぎや、阿呆。呪いなんかに打ち負かされるほど、僕はやわやない。
泣いている友達を見逃すほど、僕は非道ではないしなぁ。見くびらんといてえな、わたるんはん。
仮に傷つくんなら、わたるんはんが“無理に離れていくこと”に対してやから」
なんで、見抜いてしまうんだろうと渉はせっかくの嘘が無意味に終わったことに絶望しながら、“気づかれたことに安堵してしまった”。
気づいてほしいだなんて思っていない。――いいや、思わないようにしていた。
目に見えて分かる結果があったから。ここで突き放さなければ、きっと僕はもうみんなから離れたくないと、一緒にいたいと――今まさに感じている結果になってしまうから、思わないようにしたのに。