罪語りて所在の月を見る
迷い戸惑っていたのが、すぅと抜けていた。
相も変わらず、みんなを危ない目に合わすのではないかと不安があるが、もうみんなを突き放す真似なんかできないと確信していた。
――辛かったんだ。
わざと突き放し、嘘をつき、泣かせて、好きを嫌いにしようとしたあの行為の残酷さを、心から感じた。
だからもう、できない。したくないんだ、あんなことは。
「結局は、僕のワガママか……」
酷い人間だと罵りたい気持ちが出てくるが、この思考もきっと阿行たちを前にすれば消えてくれる。
有無を言わさずにみんなは、渉に楽しみ方を教えてくれるから。
一人になった時にはこうして、自身の呪いだけと向き合わなければならずに、“あの人”のこともあるのだから、自然と不幸を求めてしまうが、せめてみんなの前では笑えるようにしたい。