罪語りて所在の月を見る
逆さになった頭から布が落ちて、酸をかけたような爛れた頭と枯れ果てた柳みたいな髪束が逆さ吊りにされた。
首の骨がなく、筋肉さえも弱っているかのように、一押しすれば、そのまま首だけ落ちてしまうほどに、“曲げに曲げて”。
大きく開いた濁った黒目だけが、垂れる頭に逆らうように鼻筋に寄せられた。
見るなら真正面から見ればいい、しかして頭は“首から逆さ吊りにされたまま”、渉だけをじぃぃと覗き込んでいた。
七十代にも見えよう深いシワが鱗を逆立てたようにより目立ち、墨汁を撒いてできたに近いそんなシミが更に年齢を大きくした。
山姥(やまんば)の例として描けそうな顔、これで五十代とは誰も信じない。
人間らしい生活を捨てたからこそ、ここまで老いてしまったのか。しばらく見なかったために、コレがあの伯母と渉は認めたくなかったが。