罪語りて所在の月を見る


委員長などと本当にあの女生徒がそんな役職についているかも分からない渉だが、ホウキを男子に押し付け、くどくど説教みたく、不出来な不良を諭すような態度の女生徒を見ればそうも思う。


何を喋っているか聞こえずとも、あの委員長(推察)が掃除当番をサボった男子を引き止めに来たのは明白だ。


某3年B組先生並みに説教し始めたか、男子たちがうざってぇとしかめっ面をする。あれはあの先生がやってこそのお涙頂戴説教だ、素人がやってはああなってしまうに決まっている。


「あ、ななりんだー」


――と、渉の背中におぶさるIカップが弾んだ。ぐぃと身を乗り出すようにするのだから、渉が前のめりになる。


「お知り合いですか」


窓に手を置いていたため、体勢はすぐに直った。聞きながらも、窓を拭く手は止めない渉を見て、背中の少女は習うようにまた自身も窓拭きを再開する。


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