罪語りて所在の月を見る
手を伸ばして後ろから溝出の頭――耳辺りを掴んでこちらを向かせたわけだが、溝出はまだ生き生きしていた。骨なのに。
「ヒャハハ、見たか見たか見たかああぁ!やっぱこれだぜ、俺のあるべき姿はこれなんだよ!
折られて叩かれて投げられ、『ごるふ』や『さっかー』のぼーるにされたり、焼却炉で燃やされ、墨汁につけこまれ、こーら入ったびんに密閉され、ぽちの遊び道具として自身の肋骨を投げる毎日だったけど――」
「そんな痛々しい自己紹介もやめてくださいよ」
「そうだよっ、痛々しいぜっ。痛々しすぎて全国の美女が俺のために涙流すほどに、今までの俺のあり方が間違っていたんだよ!」
「間違いは別の点にあるかと」