罪語りて所在の月を見る


「あー、それは……」


日頃の行いが悪い溝出なら、誤解もされるだろう。――いや、誤解じゃなく、正に溝出は『生徒を追い回して怖がらせた』と悪名に相違ないことをしてみせた。


教師が生徒を守るのは当然だ。喋る骨でも噛ませ骨と分かっているなら飛び蹴りも食らわすはず。こうして溝出と喋りながらでも、どこからか「どこいったあぁぁ!」と殺意溢れた声が聞こえてきた。


「き、きききたあぁっ。わたるんやべぇ、あいつはやべえって!俺の骨を粉微塵にした悪魔だ!あいつに見つかったら、俺とお前の命は奈落の底に叩き落とされっぞ!」


「いえ、僕は大丈夫ですよ。というか、処罰を受けるのは溝出さんだけかと」


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