狭い空





-------ピンポーン。





「 !? 」



僕はなれない音にびっくりして
持っていたノートを床に落とした。



ガタンッ!!!!



あまり重くないはずのそれは
勢いよく机に当たり

そのまま床まで倒れこんだ。




----こんな時間に…誰だ?



時計は午後10時30分を指していた

普通ならこんな時間に
うちをたずねてくるやつなんて

いないはずなんだが・・・。




少し不思議に思った僕は

あの狭く小さな出窓から
身を収縮させて覗き込んだ。




そこからは、

高そうな黒のセダンと
そこから降りてくる

一人の女性らしき姿が見えた。




「・・・・・・・・誰?」




少なくとも僕の知り合いじゃないし
一体どこのどいつなんだ・・・あの女?



第一ここからじゃ暗くって
顔もみえないじゃないか




「ちっ」



仕方なく僕は
また何もない部屋に戻る。



----すると、



バタバタバタバタッ!!!
トントントントン・・・



勢いよく階段を駆け上がってくる音と

静かに階段を上る音、



二つの足音が聞こえてきたと思ったら



僕の部屋の前で静かに止まった。




「 かおるくん! 」




はあ!?


聞き覚えのないその声に
僕は緊張をかくしきれなかった



「・・・・・はい、」



思わず返事をしてしまった僕に
足音の主は続けた




「2年から新しく、君の担任になった大塚です」


大塚、と名乗る僕の新しい担任は
たぶん外で見た女だろう

彼女は声が若く、落ち着いていた。



「かおる!久しぶりだな!!」


ドアの向こうから
今度は聞き覚えのある声がして

僕はものすごく驚いた


そして懐かしいその名前を呼んだ


「・・・佐伯先生?」

「ああ、覚えていてくれたか!」

「そりゃあ・・・もちろん」




だって、佐伯先生は
僕の唯一のお気に入りだったから。



ああそうか。

あの激しい足音は
佐伯先生でしたか…(笑)



「で、どうゆうことなんですか?中学の先生が僕の新しい担任とおしかけてくるなんて…」

「押しかけたとは、語弊があるな」

「まあなんにせよ理由があるんでしょ?」



そうだ…。と声を和らげて
先生は続けた。











< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop