狭い空
-------ピンポーン。
「 !? 」
僕はなれない音にびっくりして
持っていたノートを床に落とした。
ガタンッ!!!!
あまり重くないはずのそれは
勢いよく机に当たり
そのまま床まで倒れこんだ。
----こんな時間に…誰だ?
時計は午後10時30分を指していた
普通ならこんな時間に
うちをたずねてくるやつなんて
いないはずなんだが・・・。
少し不思議に思った僕は
あの狭く小さな出窓から
身を収縮させて覗き込んだ。
そこからは、
高そうな黒のセダンと
そこから降りてくる
一人の女性らしき姿が見えた。
「・・・・・・・・誰?」
少なくとも僕の知り合いじゃないし
一体どこのどいつなんだ・・・あの女?
第一ここからじゃ暗くって
顔もみえないじゃないか
「ちっ」
仕方なく僕は
また何もない部屋に戻る。
----すると、
バタバタバタバタッ!!!
トントントントン・・・
勢いよく階段を駆け上がってくる音と
静かに階段を上る音、
二つの足音が聞こえてきたと思ったら
僕の部屋の前で静かに止まった。
「 かおるくん! 」
はあ!?
聞き覚えのないその声に
僕は緊張をかくしきれなかった
「・・・・・はい、」
思わず返事をしてしまった僕に
足音の主は続けた
「2年から新しく、君の担任になった大塚です」
大塚、と名乗る僕の新しい担任は
たぶん外で見た女だろう
彼女は声が若く、落ち着いていた。
「かおる!久しぶりだな!!」
ドアの向こうから
今度は聞き覚えのある声がして
僕はものすごく驚いた
そして懐かしいその名前を呼んだ
「・・・佐伯先生?」
「ああ、覚えていてくれたか!」
「そりゃあ・・・もちろん」
だって、佐伯先生は
僕の唯一のお気に入りだったから。
ああそうか。
あの激しい足音は
佐伯先生でしたか…(笑)
「で、どうゆうことなんですか?中学の先生が僕の新しい担任とおしかけてくるなんて…」
「押しかけたとは、語弊があるな」
「まあなんにせよ理由があるんでしょ?」
そうだ…。と声を和らげて
先生は続けた。