キャンディーをひとつ
クラス議員


 私、篠原玲奈は、
 この春から高校二年生になった。

 新しい教室の窓からは桜の花びらが散っているのが見えて、
 クラスメイトの大半は、
 先生の話なんて上の空で外を眺めている。

 確かに桜は綺麗だけれど、先生の話は大事じゃないんだろうか。

 
 「今日からお前らは2年2組として1年間同じクラスだ!
  じゃあ今から委員を決めるが―…」

 じっと先生の顔を見ていると、ぱちりと目が合った。
 そして先生はにっこりと笑い、一人で頷いた。

 
 
 「クラス議長は、えーと、篠原!
  お前に頼んでもいいか?」


 
 否定する権限も無く、私ははいと返事をした。

 まさかこれが人生の、私の転機になるとも知らないで。





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