Dear
「…あ、あのさ、雪那…、さっきは…その…」


奏哉が何か言いかけた瞬間、またクラスの女子がアタシのことを呼んでいる。と思ったら、


「自分で呼んできなよ!」


等と言っている女子に背中を押されて一歩、教室へと入ってきた男子…、律輝がいた。


「…観月、ちょっと」


ボソッとだが確かに呼んだアタシの苗字。
呼び方が気に食わなかったのか、さっきのやたら律輝に突っ掛かっていた女子がまた観月って誰〜?なんて言うもんだから…。
律輝の負けず嫌いが発動し


「…雪那っ!」


と大声で言った(叫んだ?)
すると瞬く間に「おぉーっ」
「ひゅーひゅー!」
と、歓声があがった。


「り、律輝……」

「早くこいっつの!!//」


流石に可哀相だなぁー…と少しだけ同情していた。
当の本人はと言うと…顔を真っ赤にして、やけくそになって大声で叫んでいる。
いつになっても馬鹿だなぁ…と思っていたら、教室の直ぐ前の窓辺で立ち止まった。


「…教科書、さんきゅ」


まだ教室を気にしてこっちを全く見ないまま教科書を渡してきた律輝。


「うん、大丈夫だった?」

「あぁ…助かった」

「それならよかった…」


ホッとして頬を緩めると、教室の方から歓声があがりアタシたちが教室を向くと一気に収まる。
…一体なんなんだこの人たちは。
そしてこの異様なチームワークは。
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