Dear
「んーん、別に?」


笑っていたと思えば直ぐに無表情に戻り、そう思うと直ぐに笑い出して…
絵美のテンションというか、気の変わり方にはついていけない…。


「え?意味わからない…」


そう呟いていると、逆側の隣が"トントン"とアタシの肩を叩いてきた。


「なん…っ!」


振り向くと頬に指がブスッとささった。


「…次はお前か……っ!」


涙腺が緩んだ目で、キッと睨むと隣のバカは、ニヤッとしてアタシを見てくる。


「いや、今のは雪那が振り向くのが悪いだろ?」

「なっ、お前が肩叩いたからいけないんでしょ。バカ奏哉!」

「バカにバカとか言われたくねぇわー…」

「なら敢えて言ってやる。バカバカバカ...」

「いや、バカはお前だろ!」


この人は、「藤本 奏哉」。
アタシの幼なじみで、なんでも素直に言い合える良い仲の人。
中学に入ってからは一回も同じクラスにならなくって逆に驚いたくらいだった。


「ったく…雪那と同じクラスとか意味わかんねぇ」

「それ、こっちのセリフ」


お互いに睨み合いながらも内心同じクラスになれて、めちゃくちゃ嬉しい。
…って、アタシだけかな?

『これをもちまして、水川中学校、第48回始業式を終わります。一同、礼。』


「さてと、教室戻るかっ」

「あっ、待って、アタシもいく!」


そんなやり取りをしながらアタシと絵美、そして奏哉の三人で教室へ向かった。
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