Dear
今更ながらアタシは、瑞三テニス部に所属している。
三年だけでも14人7ペアあり、和気あいあいとした部活だ。

春季大会も後一歩及ばずになってしまい、次は夏季大会に向けて練習中を重ねている。

ちなみに夏季大会には個人と団体の二つがある。

なんとしてでも、夏季大会で優勝して、テニ部を都大会へ連れていかなければならない。

…それはきっと、みんなが同じ気持ちでいるはず。
もちろん、テニ部全員が。


「っし、頑張りますかぁ」


気合いを入れていると、後ろから「燃えてるねぇー」と馬鹿にしているのか、応援しているのかがわからない声がした。

誰かと思って振り返ると、絵美と馨がいた。
馨とは、幼稚園が一緒で、小学校で分かれ、また中学で一緒になった、ある意味幼なじみ。
そして瑞三の王子である。(テニ部の中でのみ有効)
馨はバレーボール以外ならスポーツは何でもできて、頭もそこそこよく。
見た目もショートで後ろ姿なんてどこぞの男子よりもカッコイイ。


「かっちゃああん!!!」

「五月蝿い」


叫びながら抱き着こうとすると、絵美に冷たくあしらわれた。
ブツブツ文句をいいながら、次は静かに馨に寄る。


「夏季大会絶対勝とーね!」

「あ、うん!都大会行こうねっ!」

「ぉおー、テニ部はそんな時期ですか。」

「絵美んとこは?」


絵美は美術部に入っていて、入部当時とは比べものにならないくらい上手になった。
…いや、まぁ元より普通に上手かったけども!!!
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