Dear
「じゃあ…男子で学級委員やってくれる人…」


引き攣りながらみんなの方を見た。
やはりみんなは俯いたまま…と思っていたそのとき


「俺、やろうか?」


廊下側の前方の席に座っていた、神崎 裕也。
この人もアタシの数少ない幼なじみだった。


「裕也、いいの?」

「幼なじみの誼ってことで、特別」

「…じゃあ、よろしく」


笑って裕也に頼むと、裕也は"くしゃっ"とした笑顔を私に向けた。


「じゃあ次は――…」


そこから先は全部、裕也が進行してくれた。
裕也は奏哉と違って、小学校の六年間と、中学校での三年間、合計で九年間も、私と同じクラスでいた。

それのお陰か、私がめんどくさいことがあまり好きじゃないってことも、わかってくれているみたいで。
裕也が一緒なら、嫌だった学級委員も出来るかなぁ…なんて、思ったりした。


「ゆーきなっ」


休み時間に入ると、絵美が後ろから抱き着いてきた。


「絵美…どしたの?」


なにかニヤけている絵美に質問してみた。


「雪那、神崎?と良い感じだったじゃんっ」

「裕也とは只の腐れ縁っ!」

「じゃー、奏哉は?」

「…幼なじみ、デス」


そう答えるとまったく…と溜め息をついた絵美。


「そんなんじゃ、この先、一生独り身のままだぞ!」


そう言った絵美は直ぐさまどこかへいった…


「…アタシだって、彼氏、欲しいけどさ」


そう呟いたら、後ろから


「雪那、彼氏欲しいの?」


と声がした。
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