Dear
「…あ、裕也」


振り向くと、そこには先程の腐れ縁の男子、裕也。


「よっ…それより、雪那は彼氏欲しいの?」

「…まぁ、正直」

「ふーん…好きな人は?」

「んー、一応いる」

「教えてくれたりする?」

「…特別、だからね?」


お互いにしか聞こえないくらい小さい声で話していた私達は知らない内に恋ばなをしていた。


「へー…瞬輝の次は律か」


平然とした顔で言い退ける裕也。


「ちょっ…もう少し小さい声で言ってよー…っつーかアタシ瞬ちんのことなんて好きになってな…」

「律に告んないの?」

「まさかの無視?…うん、絶対無理だし」

「諦めんの早ぇな」

「噂では、好きな人いるって聞いたし」

「ふぅーん…」


あと一分で休み時間が終わる、と思って話しを切ろうと思った次の瞬間。


「でも律が好きなのって……」

「え?今なんて…」


最後の方が聞こえなくって、聞き返そうとした。
すると悪戯に、チャイムが鳴ってしまった。


「…じゃ、俺席戻るな」

「あ……」


本当は色々聞こうかなって思ってたけど…、授業中に考えていたらさっきの話は聞かない方がいいんじゃないかなって、そう思ってきちゃって。
真相は直接、本人の口から聞こうって決意した。
どうか律輝の好きな人が、とてつもなく可愛い娘ではありませんように…と願いながら…
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