Dear
真っ赤に染まった顔が元の白さに戻ったのをポーチの中に入れていた、ミラーで確認し数学の教科書を手に取って律輝の所へ戻った。


「遅くなってごめんっ!
バックの下に入ってたから中々取れなくって…。
はい、教科書」

「本当悪ぃ、マジ助かるっ」

「そんな大袈裟な…。別に教科書くらい平気だよ?」

「さんきゅ、終わったら直ぐ返しにくるから」


何時もの事だったけれど、教科書を貸すなんて些細なことに真剣に約束している律輝に思わず吹き出しそうになった。


「じゃ五限目が終わったら、廊下で待ってるね!」

「あぁ。じゃ、また後でな」

「うん、ばいばい」


そう言ってアタシと律輝は自分のクラスへ戻った。


それから暫く(時間にして約五〜七分ほど)の間、自分の席で一人、座りながらポケーッとしていたり、時折、若干ニヤけていたり…と少し(?)怪しい表情をして過ごしていた。

もちろん、今のやり取りは公衆の面前だったと思えばかなりの羞恥。
今はそんな事よりも律輝と二人久しぶりに話が出来た、というのが嬉しく、これ位の羞恥がなんなんだ!と思えた。

もちろんその思想は友達が近くにいなかったから、というのもあった。

だからこそ、あんなに話せていたのだ、と自分に言い聞かせ幸せ気分を満喫していたのだ。

その後、ある人物に冷かされるとも知らずに……
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