白昼夢
―春。

暖かい日だまりの中で
桜の花びらがキラキラ輝くように
そよ風に吹かれて舞い上がっている。



今日は念願のK大学の入学式。

ハルは胸を弾ませながら、母親と大学の桜並木を歩いている。


入学式の会場が見えてきた。

「ハル、トイレ行っとかなくていいの?入学式結構長いわよ。」


「あ、じゃあ行ってくるわ!トイレどこ?」

「この先を真っ直ぐ行って右に曲がったところみたいよ」

母が大学の地図を指差して言う。

ハルはトイレに早歩きで向かった。




トイレ混んでて遅くなっちゃったぁ。

ハルは母親の待つ方へ小走りで向かっていた。


そのとき後ろから

「落ちたよ。」

という声が聞こえた。


振り向くと
身長が175㎝くらいで、顔は切れ長で黒髪がよく似合うスーツを着た男子がハンカチを差し出して、立っていた。


ハルは男から感じる何かに惹かれ、呆然と立っていた。


「ハンカチ、落ちたで。」

ハルは我に返り、「ありがとう。」と言いハンカチを受けとる。


これがアキトとの出会いだった。




「あ…じゃあ行くね!」

ハルは小走りで去って行った。

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