白昼夢
初めての彼氏

―今日はアキトと初デート。

いつもの4人で遊ぶのはしょっちゅうだが、2人で遊ぶの初めてだった。


10時に◇◆駅に待ち合わせをしていた。

ハルが10分前に着くと、アキトはもうすでに待っていた。

「アキト♪」

「よぉ♪おはよーさん。」

「おはぁ♪」

「映画行くか。」

「うん。」

2人は映画館へ向かった。


…何だかデートっていう感じしないなぁ。まぁ、その方が楽やけど。

ハルは一人で少しだけ、はにかんだ。

「何ニヤついてんね~ん。」

「べーつーにぃ!」


映画館に到着。

「何観る~?」

「せやなぁ…。」


2人が観たものは、恋愛ものではなく、アドベンチャーものでもなく、動物の映画だった。



『いやだ~!!チョビ死なないでよ!!!』

犬が死んでしまうシーンで、ハルは泣きそうになったが

ぐすっ…ぐずっ…

隣で号泣しているアキトを見ると、笑ってしまった。


「さっきの映画やばかったわぁ~!感動やしな!!それやのにお前…笑ってたやろ!?」

「だってアキト号泣してんねんもん!」

「普通やろ!!チョビが死んでんで!?ご主人を待ち続けて…!!!」
アキトはうる目になった。

「泣かないの~!」

アキトって変だ。
皆が泣いてるときには泣かないのに、皆があまり泣かないところで泣き出す。
おもしろいなぁ。
< 35 / 87 >

この作品をシェア

pagetop