白昼夢
初めての彼氏
―今日はアキトと初デート。
いつもの4人で遊ぶのはしょっちゅうだが、2人で遊ぶの初めてだった。
10時に◇◆駅に待ち合わせをしていた。
ハルが10分前に着くと、アキトはもうすでに待っていた。
「アキト♪」
「よぉ♪おはよーさん。」
「おはぁ♪」
「映画行くか。」
「うん。」
2人は映画館へ向かった。
…何だかデートっていう感じしないなぁ。まぁ、その方が楽やけど。
ハルは一人で少しだけ、はにかんだ。
「何ニヤついてんね~ん。」
「べーつーにぃ!」
映画館に到着。
「何観る~?」
「せやなぁ…。」
2人が観たものは、恋愛ものではなく、アドベンチャーものでもなく、動物の映画だった。
『いやだ~!!チョビ死なないでよ!!!』
犬が死んでしまうシーンで、ハルは泣きそうになったが
ぐすっ…ぐずっ…
隣で号泣しているアキトを見ると、笑ってしまった。
「さっきの映画やばかったわぁ~!感動やしな!!それやのにお前…笑ってたやろ!?」
「だってアキト号泣してんねんもん!」
「普通やろ!!チョビが死んでんで!?ご主人を待ち続けて…!!!」
アキトはうる目になった。
「泣かないの~!」
アキトって変だ。
皆が泣いてるときには泣かないのに、皆があまり泣かないところで泣き出す。
おもしろいなぁ。