蒼幻の天使~A Solitary Flower
神殿を映し出す湖の横を通って神殿の入り口へと足を踏み入れる。

入り口は大きく開いていて、大きな何本もの柱で支えられているその神殿の中は、空洞のように何もなかった。

ただ、何本もの柱が連なっているだけの空間。

だから、その一番奥に石のベッドだけが置かれているのが異様に映った。

「…あの石のベッド…見たことが…ある」

「美月、どこで見たの?」

「……セイジュと…初めて逢ったあの日。遊園地のミラーハウスの中で…あの石のベッドの上に眠っている……ママを見たわ!!」

……そう。

あれはミラーに映っていただけだけど。

確かにママだった。

白のローブを着た流れるように美しい髪の若い姿をしたママ。

あれは確かに………!!!

走り出そうとしたわたしをセイジュが抑えた。

「…セイジュ、どうして…!?」

「……美月…あれは……誰だ……?」

コツーンと響く靴音に、全員がその方角に目と耳を集中させた。

暗闇の中から浮かび上がったのは、一人の女性をその腕に抱きかかえている男性だった。


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