蒼幻の天使~A Solitary Flower
少し茶色がかったサラサラの髪が闇の中で動く。

透き通るような肌に茶色の髪がよく映えているその男性は、大切な物をそっと置くように白のローブを着た女性を石のベッドの上に降ろした。

長い髪の女性は、眠っているのかピクリともしない。

でも、あれは……あの人は………!!

「…ママ!!!」

間違いない。

わたしと歳はさほど違って見えないけど……あれは、


―――――――わたしのママだ!!!


「…ママっ…!!」

「待ちなさい、美月!!」

いずみさんが走り出そうとしたわたしの腕を取り叫んだ。

「…な…んでっ!?なんでママの所に行かせてくれないの!?あれはママだわ!!わたしのママよ――――!!」

「あの男……ミズキ……いえ…」

ミ…ズキ……?

「カイン=リューク=アレス……カナンの永遠の想い人」

「!?」

彼が……あの人が………。

ママの愛した……瑞樹―――!!!





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