蒼幻の天使~A Solitary Flower
第2夜 母と娘を繋ぐモノ

秘めたる想い

蒼い月夜が訪れるたびに思ってた。

ママの笑顔はお月様のように優しくて愛に溢れているって。

いつもその優しい姿を見せてくれるお月様に、私は「愛」すら感じていた。

ママと同じだって。

でも、月は遠く。

ほんとはすごく遠く、手の届かないところにあって。

大人に近づくにつれて、月はもっと近くで見たなら、違う姿をしているんじゃないかって思うようになった。

ママ。

ママが時々、何かを語りかけるように月を見上げていたこと、知ってたよ。

そんな時はなぜか、月に激しく嫉妬したの。

ママの愛は私とパパだけのものじゃないの?

空に浮かぶ月に、私は言い知れぬ不安を覚えるようになっていた。

その頃からだろうか。

私は何度も「彼」の夢を見るようになった。

蒼い月夜に、蒼の髪をなびかせて佇む少年。

私の中で彼は「月」そのもの。

彼がママを連れ去ってしまうんじゃないだろうか。

そんな不安が頭をもたげる。

私には見えるの。

ママが「サヨナラ」と言って去っていく姿が。

ママ、行かないで!!

どこにも行かないで!!

「ママ!!」



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