蒼幻の天使~A Solitary Flower
起き上った瞬間、目の前にあったのは、広く蒼い草原だった。

夜の蒼い光が、草原を蒼く染めていた。

「…きれい」

まるで蒼い真珠のように輝く草原。

あまりに幻想的な光景に思わず息を呑んだ。

「ミラージュムーンの蒼幻(ソウゲン)だよ」

頭の上から聴こえた声に振り返ると、セイジュが後ろからわたしを見下ろしていた。

「…セイジュ!!」

でもセイジュの名を呼んでおいて、本当に彼がセイジュなのかと疑問を感じ、わたしは草の上に座り込んだまま彼をじっと見つめた。

「…なんだ?」

「いや…だって…本当にセイジュ?」

黒髪だったセイジュの髪は、淡い蒼色を帯びて短髪から長髪に変わっていた。

腰まで伸びる蒼い髪が風に揺れる。

そして特別な力を発揮する時以外は黒だった瞳が、今は静かな蒼色をたたえていた。

神秘的で底の見えないブルー。

セイジュは「ああ」と思いついたように自分の髪に触れ、言った。

「これがオレの本当の姿。地球での姿は幻だったからな」



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