満月の日の夜【短】


お医者さんは顔を歪め、言いにくそうに呟くように言った。



「助かるのは....難しいでしょう。
普段から相当な無理をしていたようで心臓にかなりの負担がかかっています。
....何か、話したいことがあれば今のうちに。」



何を言っているのか理解できなくて
動きが止まったお医者さんの唇を只々呆然として見ていた。


ついさっき到着した彰哉のお母さんらしき人が隣で泣き崩れるのを見て
私の頭は少しずつ今の状況を理解し始める。


震えが、止まらない。


彰哉が......――――――いなくなる?
イナ...クナル....?

嘘だ。ウソだ。

そんなわけない。


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