満月の日の夜【短】


婦長が学生たちに自己紹介を促して
純に自己紹介をしている間も、私の視線は彼に注がれていた。


自己紹介の順番が来て
彼は薄い唇を開いて話し出す。


「仲野、翔[ナカノ カケル]です。」


聞き心地の良い、柔らかなテノールの声。


私が知ってる彰哉の声は、まだ声変わりもしていない幼い声だったけれど
もし、声変わりをしていればこんな声だったんだろうな、と思う。



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