Teen.
瞬間、大島先生と目が合ってしまった。

先生はにこやかに、だけど厳しく、「はやく」とわたしに言った。
その威圧に萎縮して、また顔をノートに向ける。

わたしを呼んだのが誰かはうやむやに。

この式の意味は…2をX乗で1/32になるってことだから、
あれ。
よくわからなくなった。

わたしが苦闘しているうちに、問題の解説が始まる。

案の定、わたしがやっとのことで出した答えは全くかすりもしていなくて、右手に持った赤ペンの先を口にあててみた。
もちろんそんなことをしたから数学ができるようになるわけでもなく。


数学は本当にだめだなぁ、まったくついていけない。
そんなことを思っていたとき、数分前の出来事を思い出した。

あ、わたしさっき誰かに呼ばれた。

大島先生が黒板に夢中になっていることを確認してから、そっと右斜め後ろを振り返る。

「やっと気づいた」そこにいた男子生徒はまるで子供みたいに笑っていた。
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