Teen.
クラス替えをして二日目。
自己紹介も一度もしないまま始まった授業。
勿論彼の名前もわからない。

「小池、ピンとれそうだよ」

わたしは彼の名前を知らないのに、彼はわたしの名前を知っている。
しかも髪型まで気を遣っていてくれている。

その状況がよくわからなくて、とりあえず「ありがとう」とだけ言って
すぐに前を向いた。

なぜか心臓の鼓動が速い、人間の体って難しい。

そんなわたしの動揺とは裏腹に、周りのみんなは高校二年生の初授業についていくのに必死のようだ。

大島先生も、変わらずわたしたちに背を向けて黒板に夢中。
驚いてよく考えていなかったけれど、ピンについて教えてもらったんだ。
と思いだし、ペンを持っていない左手で後ろ首の上に触れる。
確かにお気に入りのピンが外れかかっていた。

あやうくなくすところだった。
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