彼の薬指
するとバーテンは、彼に話しかける


「高木さん、彼女、このカクテルが気に入ったって」


彼は煙草の火を消し、
ゆっくりとこっちを向く




「ほんと?よかった。
 俺が始めてオリジナルで作ったものだったんだ」















名前も知らない


あなたの


低くて、優しい声が頭の中に響く






彼は、
少しはにかんだ様に笑ってみせた


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