彼の薬指
静かな店内には
彼の声が良く響く



空いたグラスをバーテンに渡し、


『同じものを』


と頼んだ



少し酔った脳内で
目を閉じると浮かぶ
流れるリズム



初めて聞く筈の、彼の声は
なんだか少し懐かしくて
わたしの鼓動は次第に落ち着きを取り戻していく




時折目が合うと、
彼は小さく笑った
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