彼の薬指

時計の針

お店のドアが開くと同時に、
背中の方から冷たい風が入ってくる


新しい客に、


「いらっしゃいませ」


バーテンは笑顔で迎えた



コトン…

わたしの前に静かにカクテルを置くと
バーテンは、入ってきた客の方へ行った



彼の隣に座ったのはいいけれど、
何を話していいかわからなくて
わたしはグラスに口を付ける


店内に流れるメロディを
彼は、時折口ずさむ


それを聞きながら、
わたしは取り出した煙草に火を付けた
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