彼の薬指
『そういう高木さんは、いくつなの?』


「俺?キミより倍くらい上かも」


『えぇ!!ってことは、40?!」


どう見ても、40には見えない!
噴出しそうになって、慌ててグラスを置く


「まだ40ではないけどね。
 もうすぐ38だよ」


『そっかー…。オジサンなんだね』


先程の仕返しにと、皮肉っぽく言ってみた


「そうです。オジサン。
 だからあんまり苛めないでね」


クスクスと声を出しながら高木さんは笑った



普段は割りと、大人っぽく見られる私だけど
今、高木さんから「子どもだよ」と言われた理由がなんとなく解った


倍近く歳の離れた彼の、静かな雰囲気に
わたしは甘えられてるからなんだ


どうやっても、対等には話せない

当たり前なことだけど、
それが悔しいような、心地良い様な感覚になる
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