彼の薬指
彼女はしばらくの間、席にいるお客と会話をし、もう一度グラスを鳴らすと私の元へ歩いてきた

「ありがとう!ホントに来てくれたんだ」

『妹の誕生日なんだからお祝いくらいするよ』

わたしは小さな花束を、彼女に渡し、
先程の黒服の男の子にシャンパンを頼んだ


「そんな、気を使わなくていいのに」


申し訳なさそうに眉を寄せる妹に


『そんなんじゃないよ。それとも、飲み飽きた?』


と、冗談を言う


ポンッ!!

突き抜けるような音に、炭酸の音が散り
透明なグラスに薄ピンクのシャンパンが注がれる


『おめでとう』

グラスを傾けると、美羽は嬉しそうに笑った


色白で
華奢な身体

白いロングドレスが良く似合う



二つ歳の離れた妹は、幼い頃から変わる事無く

本当に天使みたいで、彼女に渡った淡いピンクの花束が、小さく笑ったように見えた
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