彼の薬指
わたしも妹も、今は家を離れ
別々に暮らしている

最近あったコト、何を食べただとか、どんな服を買っただとか、他愛のない話をする


しばらくすると、ドアが開き鈴の音が聞こえた


黒服が静かにやってきて、美羽に耳打ちする

彼が去った後に、残念そうな顔をしながら


「ごめんね、お客さんがきてくれたみたい。」


『いいよ。じゃあわたしはそろそろ帰るよ?」


「ゆっくりしていっていいのに~!
 でも、話し相手いないからタイクツかぁ」


しゅん。と、うな垂れる美羽


「そんなことないよ。
 寄る所があるから行かなきゃ。
 だからいっておいで。」

妹に微笑みかけながら、煙草に火を付ける


彼女は申し訳なさそうに

「また連絡するから」

と言って、奥の席へ歩いていく



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