先生、好きになっちゃいました。
「あ、あのっ今日体調悪いんでもう家帰ります!
さよなら!」
早口言葉のように一気に喋って
教室を走って出て行った。
「川澄!?」
先生の声はあわてていた。
私は一度も振り返らずに塾を後にした。
「もう、ばかっ…」
先生は追いかけてこなかった。
そんなの当たり前だ。
でもね…
ちょっと期待しちゃったんだよ。
先生なら走って腕をつかんで
待てよ、って言うんだって
思ってた。
そんなムダな期待をした自分が
恥ずかしかった。