先生、好きになっちゃいました。
「え?」
いきなり声がした。
振り返ると高尾先生が息を
切らしながら立っていた。
「なんで…?」
先生はゆっくり近づいてきた。
まるで私が逃げないようにするために。
「お前ほんとばかだな!
俺がどんだけ心配したか分かってるのか?」
先生は多分、塾から走って探しに
来てくれたのだろう。
夜なのに汗をかいていて
服をパタパタさせている。
「だって…」
「だって…じゃねえよ。
何があったかも言わねえで
勝手に帰っちゃうんだもんな。」
グーでコツンと額にパンチして
となりのブランコに座った。