幼馴染みに奪われました
足がガクガク震え始め、上手く立てなくなり始める。
限界がきて、ふらっと地面に倒れる寸前に、
ふわっ
「…おっと」
翔が抱き締め、助けてくれた。
「……っ何で、お姉ちゃんが………どうして…葵君………。あたし、どうすればいいの……? 翔……」
抱き締められてられているのが何だか安心して……。
思わず翔に想いをぶつけてしまった。
「…何でも……ない。 ごめんね、翔…。あたし、頼ってばっかり…ハハハッ」
思わず込み上げてきた笑い。
俯き、目に涙が溜まっているのを隠した。
…つもりだった。
だけど。
今までずっと一緒にいた幼馴染みにはやっぱり気付かれていたようで…。
グイッ
「…っふぇ……っ?」
「来い」
強引に手を引っ張り、この場から離れる。
あたしはほっとした気分になった。