Halfway
風呂上がりのベッドの中で、真っ黒な羽を指でくるくると確かめる。


「あの人の羽だよね」


カラスのように艶のある黒い羽。しかし、手の平におさまりきらないほどの大きさが、それを証明していた。


"ヤツらの次のターゲットはあんただよ"


男が最後に残したことばが気になって落ち着かず、部屋の掃除や洗濯に1日を費やしてしまった。

何も起こらなかったけれど、……心当たりがあるとすれば、例の連続失踪事件だよね。


明日は仕事だから、外出を避けるのは無理だ。とりあえず、細心の注意を払おう。


黒い翼をひろげて羽ばたいていった男の姿を思い出す。

信じ難い光景だったけれど、確かに見た現実だ。


それが、男の言ったことばに信憑性を持たせていた。



"その羽なくすなよ"



頭に蘇る声。私は枕元にビンを置き、そっと羽をたてた。

今日の非現実を整理できず、興奮がさめてくれない。

なんとか眠りにつこうと布団を深くかぶり目を閉じた。
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