天神学園高等部の奇怪な面々21
橘 花音の迷う泣きべそゴールデンウイーク
最近、バイオリン男子こと橘 和音(たちばな かずね)はピアノレッスンに精が出る。

家の地下室に篭もり、根を詰めて練習に勤しんでいる。

普段惚けた様子でバイオリンの弾き語りなどしている彼ではあるが、分かる者には分かる。

無造作に奏でているバイオリンの音色の、何と洗練されている事か。

ふざけ半分で扱えるほど、和音の愛用する『レディ・ブラント』は安物ではないのだが。

ピアノとて同様。

普段の血の滲むような努力があるからこそ、意識する事なく実力を発揮する事ができるのだ。

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