天神学園高等部の奇怪な面々21
クルリと振り返ると。

「…あれ…」

知らない人でいっぱいだった。

自分より背の高い男性や、初めて見る女の人は沢山行き交っている。

が、お兄ちゃんと拓ちゃんはいない。

「あれ…あれ…」

キョロキョロと周囲を見回す花音。

いない。

バイオリンの音色も聞こえなければ、優しい拓ちゃんの声も聞こえない。

雑踏と、ざわめきのみ。

そこに花音の知る者は誰もいなくなってしまっていた…。

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