天神学園高等部の奇怪な面々21
そうだ、かくれんぼしているんだ。

子供の頃、三人でよくやった。

お兄ちゃんや拓ちゃんは、花音がどこに隠れてたって見つけてくれたが、花音が鬼になると、二人の事がなかなか見つけられず、最後には泣いてしまうので、いつも頃合いを見計らってわざと見つかってくれた。

きっと今回だってそう。

どこかに隠れて様子を見ていて、花音が泣きそうになったら、きっと迎えに来てくれる。

「お兄ちゃん…拓ちゃあん…」

まるで仔猫のように細く鳴く花音。

ギュッと五所川原を抱き締める両手が、彼女の不安を表していた。

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