今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
自然とそう聞いたものの、聞いたあと"何を聞いてしまったんだ"とすぐに後悔した。
暁がどんな子が好きかなんて、そんなの聞かなくても"るいさん"みたいな子に決まってるのに。
それに、さっき同様、暁はこういう質問が嫌いなんだから答えてくれるはずない。
「か弱すぎるより、少し気が強いくらいがいい」
……と思いきや、再びシートにもたれかかるように座った暁が、窓の外を見ながら口を開いた。
「そうなんだ……」
私はそう口にしながら、るいさんは暁の前では気が強いのかな……と勝手に予想していた。
ちょうどその時、コンビニからまー兄が戻ってきた。
「待たせて悪いな。じゃ、行くかー」
私が暁に泣かされたことなんか知らずに車を走らせるまー兄。
私も少し泣いた程度で止められてよかった。
まさか自分がああやって、家族以外の男の人相手に強い口調で言い返せるなんて思いもしなかったから、正直びっくりした。
そのおかげで涙も止まったし、暁との関わり方もなんとなく分かってきた気がする。