今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
家の電話が鳴り響き、キッチンで洗い物をしていたママが急いで水を止めて受話器をとった。
『なにー?どうしたの?』
話し方からして、ゆう兄かまー兄のどちらかだなと思った。
少し話をしたあと、ママは受話器を反対の手でおさえ、突然私の顔を見てきた。
え?なに?私?
「雅己からの電話なんだけど……友達2人と遊んでて、そのうちの1人が親御さんと喧嘩して家出してきたらしいの。他に行くところがなくて、今日1日だけでいいから泊まらせてくれないかって……」
「まー兄の友達がうちに泊まるってこと?」
「……うん。でも、心優が本当に嫌だったら、漫画喫茶かなんかで時間潰すからいいって言ってるよ」
まー兄はきっと私に気を使って、わざわざ電話してきてくれたんだと思う。
私もいつまでも怯えてばかりじゃだめだよね……。
まー兄の友達だもん、いい人に決まってる。
心配することなんて何もない。
「いいよって、まー兄に伝えて」