今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
私がそう言うと、ママは目を開いて「え?心優いいの?」とあからさまに驚いた。
うなずく私になにかを悟ったのか、ママは嬉しそうに笑ったあと受話器を再び耳に当てた。
電話が終わり、ママは私が座るソファーへとやってきた。
私の隣に座ると、すぐにママは私のことを抱きしめた。
「少しずつ、少しずつでいいから、前へ進んで行こうね」
「うん」
「ママはこの先もずっと心優の味方だよ。だから、心優の気持ちを尊重する。前へ進んでいくなら、ママが背中を押してあげるね」
そっと離れて私を見つめるママの目からは一粒の涙が今にもこぼれ落ちそうだった。
ママからの愛情たっぷりの言葉と、その涙に、今までママも私と一緒に苦しんでくれていたんだということが改めて分かった気がした。
いつだって寄り添って1番そばで私を支えてくれていたママ。
ママだって辛い思いをして悩んでくれていたんだ。