今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
少し静かになったところで、恐る恐る脱衣所のドアを開けてみた。
廊下には誰もいない。
いや待って、リビングにいるかもしれない。
廊下を歩き、再び恐る恐るリビングのドアを開けたものの……ソファーにはパパ、キッチンにはママとまー兄だけがいた。
「まー兄おかえりなさい」
「お、心優。ただいま」
友達に持っていくのか、まー兄は炭酸飲料水の1.5ℓのペットボトルとコップを3つ重ねて左右に持ってキッチンから出てきた。
「友達は……?」
「俺の部屋にいるよ。2人泊まることになったんだけど、トイレ以外は俺の部屋出ないように言ってあるから。っつーか、1人は……」
「危ない!」
まー兄が何かを言いかけたところで、1番上に重ねられたコップが落ちそうになったので、私は思わずそう叫び、まー兄はとっさにそのコップを胸で受け止めて難をまぬがれた。
「あっぶねぇ……。心優のおかげで助かった」
「もうー、気をつけてよね」
「今日のこともありがとな。昔から仲良いやつだからさ……」
「うん。まー兄の友達だから心配はしてないよ」