今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。


「ほら、暁にはるいさんっていうきれいな彼女がいるから、私の中で暁は男っていう認識じゃないのかも!」

「……」

「私にとって暁は、お兄ちゃんみたいな……存在、だから……」



自分で言っててむなしくなってきた。



この場を切り抜けるためのウソなのに、口にしたら自分の本当の気持ちを否定してるみたいで苦しい……。



好きなのに好きって言えないのって、こんなに辛いんだ。



心臓を誰かにわしづかみされたように、胸がキューって痛い。



「兄貴、ね……」



そうつぶやく暁に、心の中で届くはずもないのに"お兄ちゃんとして見たことなんて1度もないよ"と返した。



最初に目を奪われたあの日から、私はすでに暁に惹かれていたのかもしれない。



運命とか奇跡とか、映画やドラマでよく聞く言葉は信じていなかった。



……でも、私にとって、暁に出会えたことは奇跡だ。



誰かをこんなに苦しくなるほど好きになることができたのは、奇跡としかいいようがない。



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